当院でのお産について

安心で安全な分娩を行っています

当院でお産される方にはバースプランを書いていただき、お産に対するご希望をお聞きしています。
入院後担当スタッフから再度確認させていただきます。
納得のいく素晴らしいお産を目指して常に相談し、協力しながらサポートさせていただきます。

立会い出産をすすめています

現状では8割くらいの方が、ご主人あるいはお母様などの立会いのもと出産されています。家族の方がおられることにより、孤独感が薄れ、よりリラックスしてお産が迎えられると思います。また、ご主人の父性意識の確立にもいいと言われています。なお、ご主人とお母様以外の立会いの際は助産師にご相談下さい。あまり多人数の立会いは感染予防の点から好ましくありません。

出産直後の赤ちゃんとの触れ合いを大切にしています

当院では出産後すぐに、赤ちゃんをお母さんの素肌の胸の上に抱っこしていただいています。(早期母子接触)従来は、赤ちゃんは処置などのために、お母さんと引き離されることが多かったのですが、当院では、お母さんは、この肌と肌との触れ合いを通して、出産の喜びを実感し、赤ちゃんに対するいとおしい感情を深めることができるでしょう。ただ赤ちゃんの状態によっては、触れ合いができない場合もありますので、ご了承下さい。

母乳育児について

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母乳のいい点

  • 母子関係の発達や乳児の精神発達を促す。
  • 免疫物質が含まれており、乳児を病気から護ることができる。
  • 出生後より中枢神経系が著しく発達する乳児に必要なアミノ酸、必須脂肪酸が多く含まれている。
  • 蛋白や脂肪の消化がよく、胃や腎臓への負担が少ない。
  • 母の子宮の回復を促す。
  • アレルギー性疾患が少ない。
  • 経済的かつ簡便。
  • 歯やあごの発達をよくする。

母児同室

ママが赤ちゃんと一緒に過ごすことで赤ちゃんは安心感につながります。赤ちゃんの欲しがるタイミングで授乳することで赤ちゃんとのふれあいも増え、母乳分泌の促進につながると言われています。入院中に赤ちゃんと一緒に過ごすことで、退院後の生活をイメージしながら少しでも育児や授乳がスムーズに行えるよう、それぞれの生活スタイルに合わせてスタッフがサポートしていきます。もちろん休憩を取りたい時はいつでも新生児室で赤ちゃんをお預かりしています。

無痛分娩について

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出産に伴う子宮の収縮や、産道の広がりに伴う痛みは、脊髄を通して脳へ伝えられます。 硬膜外麻酔や脊椎麻酔は、区域麻酔と呼ばれ、体の一部を麻酔し、痛みを和らげる方法です。腰部から麻酔を行うことで、子宮や産道から伝わる痛みを脊髄で遮断するため、出産時の痛みを効果的にとることが可能となります。麻酔中はお母さんの意識は保たれ、 赤ちゃんへの影響はほとんどありません。ただ痛みの取れ具合や感じ方は個人差があるため、完全に痛みがなくなるとは限りません。生理痛のような感じは残る可能性はあります。

図1 お産の痛みの伝わりかた

無痛分娩の麻酔

  • 硬膜外麻酔
    無痛分娩の標準的な方法で、脊椎の中の硬膜外腔に細いチューブ(カテーテル)を挿入し、痛みの程度に応じて、出産まで持続的に局所麻酔薬を注入する方法です。痛みの程度に応じて薬の量や種類を調節します。
  • 脊椎麻酔・硬膜外麻酔併用
    お産が急速に進行してから麻酔を始める場合に、この麻酔方法を用いる場合があり ます。脊髄くも膜下腔に麻酔薬を一回注入することで、迅速で確実な鎮痛が得られます。その後、硬膜外カテーテルを用いて持続的に局所麻酔薬を投与します。

図2 硬膜外麻酔

無痛分娩を開始するタイミング

当院では当面経産婦さんを対象に、38週ごろの計画出産になります。
前日入院し、子宮口の開きが不十分な方は開きをよくするため、風船のようなものをまず子宮口に入れることがあります。
当日朝から子宮収縮剤の点滴開始し陣痛をつけます。硬膜外チューブを挿入後、痛みを感じるようになれば、麻酔開始します。 はじめは硬膜外カテーテルから医師が局所麻酔を投与し、薬の調整をします。通常は、薬剤の調製で痛みが和らぎますが、効果が不十分である場合には、硬膜外カテーテルを再度挿入する場合があります。逆に、麻酔を始めた後に、陣痛(おなかの張り)が全くわからなくなるほど、十分に麻酔が効いているときや、分娩の進行状態によっては一時的に、麻酔を止めることもあります。

硬膜外無痛分娩で起こり得る副作用や合併症

硬膜外無痛麻酔の安全性は確立されていますが、いくつかの副作用もありますので、硬 膜外麻酔を行った後は、常にお母さんの血圧、酸素飽和度をモニターし、定期的に医師、助産師が観察します。また、赤ちゃんの心拍モニターも分娩中は継続して行い、適切な治療を行います。

  • お産への影響
    分娩第二期(子宮の出口が完全に開いてから赤ちゃんが生まれるまで)の時間が延 長すると考えられています。吸引分娩が必要になることがあります。帝王切開となる確率は高くならないと考えられています。
  • 低血圧、嘔気、嘔吐
    点滴や昇圧薬を投与し治療します。妊婦さんは仰向けよりも横向きの姿勢の方が 血圧が下がりにくいので、横向きの姿勢をとって頂くことがあります。
  • 頭痛
    1-2%の頻度で生じます。
  • かゆみ
  • 排尿障害
    尿道に管を入れる処置を行います。

まれな合併症】

  • 局所麻酔中毒
  • 高位脊髄くも膜下麻酔
  • 神経障害(脊髄損傷、局所麻酔による神経障害、硬膜外血腫、硬膜外膿瘍)
  • アナフィラキシー (アレルギー性のショック)

費用

通常の分娩費用に加えて7万円となっております。
短時間であっても処置を開始した時点で無痛分娩費用が発生します。さらに無痛分娩に関連する事前検査や事前診察の費用は1万円ですが、その後何らかの理由により無痛分娩を受けられなかった場合も返金は行えません。

無痛分娩管理を安全に行うために以下の場合、稀ではありますが無痛分娩を実施できない場合があります

  • 入院予定日より早く陣痛が発来し、時間外に入院された場合
  • 硬膜外チューブが挿入できなかった場合(痛み止めで和痛することは可能です)

希望者はあらかじめ無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)無痛分娩Q&Aのコーナーを参照してください。

和痛分娩について

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和痛分娩は陣痛開始後、適宜痛み止めの注射をします。
効果は無痛より劣りますが、かなり痛みの軽減効果はあります。 スムーズな分娩に向けて助産師が援助しますので、陣痛が始まってからでも実施可能です。

方法

陣痛が本格的になり進行してきた時点で、麻薬系鎮痛剤を筋肉注射します。
経過をみながら3~4時間おきに何回か注射することもあります。
痛みを完全に取るわけではありません。

和痛分娩で期待できる効果

本格的な強い陣痛による痛みと緊張を和らげることで、お母さんの体力消耗を減らして分娩進行をスムーズにします。

予測される副作用とその対策

お母さんへの副作用

  • 眠気、嘔気、動悸、血圧低下、めまい、不穏状態になることがあります。点滴をしながら、注意してみていきます。副作用がひどい場合はそれ以上使用できません。
  • 痛みの和らぎ方はその時それぞれで個人差があります。痛みは完全にはとれませんし、効き方によっては陣痛が弱まり分娩進行が遅れます。その場合は陣痛強化の薬を使用します。陣痛強化の薬を使用する必要がある時は改めて説明します。

赤ちゃんへの副作用

  • 薬を投与しておまり時間がたたずに出産となった場合、産まれた後、呼吸が不安定になることがあります。注意して全身状態を観察します。

費用

通常の分娩費用に加えて2万円となっております。

会陰切開について

分娩は母体と胎児に異常がなければゆっくりと進めて、会陰の伸展を図り、会陰切開せずにすめばと思います。しかし、状況によっては早く分娩にしないといけない場合や、伸展が悪く裂傷がいきそうな場合、切開をした方がいいと思われます。切開が必要と思われれば、こちらからお話し、局所麻酔をさせていただく予定です。しかし、急な場合、そのお話もする時間がないこともありますことを御了承下さい。当院の縫合糸は吸収糸で、縫合も埋没縫合という抜糸のほぼ必要ない方法で行います。

陣痛促進剤について

陣痛促進剤を使う必要があるのは下記の場合です。

  • 分娩の自然な経過で、陣痛が弱くなり、分娩の進行が停止する時。(微弱陣痛)
  • 破水をして長く陣痛が来ず、感染が心配な時。
  • 予定日を1週間過ぎても陣痛が来ず、胎盤の機能低下が心配な時。
  • 陣痛促進剤の使用については、無理な使い方をすると、過強陣痛、子宮破裂、胎児機能不全等の危険がないわけではありません。必要になった場合、医師のほうから説明させていただき、同意を得て、陣痛の強さ、母児の状態を慎重に観察しながら使用させていただきます。

急遂分娩について

何らかの理由で、胎児、母体に危険が出てきた場合、急いで胎児を娩出させないといけないことがあります。その場合、分娩近くであれば、陣痛に合わせてお母さんの子宮底を押したり(クリステレル圧出)、吸引分娩を行います。すぐに分娩にならない場合、帝王切開に切り替えることもあります。必要性が出てきたら、その時点でお話させていただきます。

母体搬送について

連携病院は岡山大学病院、岡山医療センター、岡山赤十字病院、倉敷中央病院、川崎医科大学付属病院等です。
岡山県周産期緊急搬送補助システム( ipicss)に対応しています。

赤ちゃんの検査について

先天性代謝異常検査(タンデムマススクリーニング)

生まれつき代謝に異常をもって生まれてくる赤ちゃんもいます。知的障害や発育障害などが起こる事もあり、この検査をすることで、病気を早期に発見し、専門医の治療を受けることで健康な生活を送る事ができます。検査料は公費負担です。採血料のみ料金がかかります。

新生児聴覚検査

生まれつき耳の聞こえが悪い赤ちゃんは、約500人から1000人に1人と言われています。早期発見治療により、言葉、心の成長を助けます。入院中に短時間で安全に行える検査です。市町村によって公費負担が受けれます。